刀剣解説(高羽弘編)

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このコーナーは過去に月刊コレクション情報にてご紹介した説明ページを再掲載したものです。
今回は岐阜の名工「高羽弘」が作刀した志津三郎兼氏を彷彿とさせる至極の一振りをご紹介します。

刀 銘:高羽弘 昭和五十六年二月日
現代刀・岐阜 第一七回新作刀展入選作

片切刃造(かたきりはづくり)、庵棟(いおりむね)、大切っ先(おおきっさき)。 鍛え、板目(いため)交じり柾目肌(まさめ)良く詰み地沸(じにえ)付き地鉄精良。 刃文、互の目乱れて(ぐのめみだれて)小沸(こにえ)深く付き金筋(きんすじ)・砂流し(すながし)掛かり匂い足(においあし)入る。 帽子(ぼうし)、大丸(おおまる)・先掃き掛け返る(さきはきかけかえる)。 茎生ぶ(なかごうぶ)、浅い栗尻(あさいくりじり)、鑢勝手下り(やすりかってさがり)。 銅に金着せ(きんきせ)ハバキ。 研磨充分(けんまじゅうぶん)。 白鞘(しろさや)入り。*研磨充分とは特に研ぐ必要なしという意味です

 高羽弘は昭和二十九年生まれ、岐阜県関市の刀匠で、本名弘、刀匠銘は弘宗と言います。父である高羽誠(刀匠銘秀忠)に学び、また父が人間国宝宮入昭平(みやいりあきひら)より研修を受けたことから、宮入一門会との交流があり、平成三年に入会。志津三郎兼氏(しづさぶろうかねうじ)の美濃相州伝(みのそうしゅうでん)を目標として作刀に励みながら、近年では日本刀玉鋼を使用した日本刀鍛錬式のナイフ、切り出し、斧、庖丁なども手掛ける人気刀匠です。
 本作は昭和五十六年、二十七歳の頃の作、重要文化財指定品、志津三郎兼氏在銘の片切刃太刀を完璧に再現した会心の一振り、本作はこの年の第十七回新作刀展入選作であり、同工の出世作ともなった逸品です。
地刃の出来は勿論のこと、寸法、反り、身幅など、全文化財指定品兼氏を忠実に再現しています。
地沸(じにえ)を微塵(みじん)に厚く敷いた板目肌(いためはだ)は、細かな柾肌(まさはだ)、柔らかな地景(ちけい)をふんだんに配した鍛えで、小互の目(こぐのめ)に湾れ(のたれ)を交えた焼き刃は、刃縁(はぶち)小沸出来(においでき)で匂い深く(においふかく)、刃中(はちゅう)互の目足(ぐのめあし)、葉(よう)が入り、柔らかな金筋(きんすじ)、砂流し(すながし)が掛かっています。
特にこの匂い口(においくち)の柔らかさと明るさは、通常現代刀では中々出せないと思われます。第十七回新作刀展出品作のため、研ぎも素晴らしく、正に志津を見るような錯覚に陥ります。本作をご覧頂ければ、同工の実力を伺い知ることが出来ます。

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