【解説】腐らかし技法とは

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今回は鍔などに見られる微妙な地肌、腐らかし技法をご紹介しましょう。

腐らかし技法とは、鍔の表面を腐蝕させ微妙なニュアンスのある地肌を表現する技法を言います。

単に酸で腐蝕して独特な地肌を表現したり、表面にあらかじめ想定した図柄を耐腐蝕性の塗料で描きその周囲を酸で腐蝕することにより、図柄や文様を浮彫状としたものがあります。

肥後平田、西垣派らにも見られ、独特な雰囲気を漂わせています。

唐草図 無銘肥後

真鍮地に唐草模様を耐腐蝕塗料で描き後に全体が腐蝕されています。

200年余の時を経た真鍮地の風合いと相まって、腐らかし手法の生かされた文様は肥後独特な風合いを醸しています。

龍図 無銘肥前

鉄地に腐らかし手法で地紋のように鱗地肌を作り、僅かな鋤出彫で龍を描いています。腐らかし手法で描いた鱗の地肌と共に鍔全体を覆った龍は、不気味な様相を呈しています。

丸紋唐草図 銘西陣住人埋忠重長

丸に三つ柏紋と唐草花文様を鉄地焼手腐らかし手法で表現しています。

埋忠重長は京都埋忠の鍔工、埋忠派らしい上品な腐らし文様を見せています。

竹生島図 無銘法安

鉄槌目地に焼手腐らし手法を施しています。

上部には三日月、下部には兎が海を渡る姿を描いています。

謡曲「竹生島(ちくぶじま)の一場面です。

腐らし手法による独特な地肌、文様は彫の手法とはまた違うニュアンスを見せてくれます。

それぞれの腐らし手法鍔をお楽しみ下さい。

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