刀剣解説(陸奥大掾三善長道)

刀剣解説

このコーナーは過去に月刊コレクション情報にてご紹介した説明ページを再掲載したものです。
今回ご紹介するのは最上大業物に名を連ね、会津虎徹とも称される江戸前期の名工「三善長道」の脇差です。

脇差 銘:陸奥大掾三善長道
(むつだいじょうみよしながみち)

鎬造り(しのぎつくり)、庵棟(いおりむね)、中切っ先(ちゅうきっさき)。 鍛え(きたえ)、小板目詰んだ(こいためつんだ)地鉄に、板目(いため)を交えて上品に肌立つ地鉄は、地沸(じにえ)厚く付き、細かな地景(ちけい)入り地鉄良好。 刃文、互の目乱れ(ぐのめみだれ)を主体にした焼き刃は、小互の目(こぐのめ)、湾れ(のたれ)を交えて、沸匂い深く(にえにおいふかく)、刃中金筋(はちゅうきんすじ)、砂流し(すながし)かかり、匂い口(においくち)は明るく締まる(あかるくしまる)。 帽子(ぼうし)、焼き深く小丸風(やきふかくこまるふう)で、先僅(さきわずかに)かに掃き掛(はきか)けて長く返る。 茎生ぶ、先僅かに刃上がりの栗尻(くりじり)、鑢切り(やすりきり)。 銅に金着せ(きんきせ)ハバキ。 時代研磨(じだいけんま)。 白鞘入り。

 長道は寛永十年(かんえい10年1633年)会津生まれ、初め『道長』と銘じ、万治二年、二十七歳で『陸奥大掾(むつだいじょう)』を受領し、『長道』と改めています。
長曽祢虎徹の作風に近似する作があるため、地元では『会津虎徹(あいずこてつ)』、『会津正宗(あいずまさむね)』とも呼ばれました。江戸後期、幕府の御試御用を務めた、五代目山田浅右衛門吉睦が、自著『古今鍛冶備考』の中で、長道の刀はその斬れ味から『最上大業物(さいじょうおおわざもの)』に列せられ、『会津にも虎徹あり』と、その名は一気に全国へと広まりました。
 最上大業物、『会津虎徹』こと三善長道の良脇差し、常よりも増して地刃スカッと冴え渡り、一見して凄まじい斬れ味を予感させる、覇気溢れる逸品です。

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