刀身彫りの世界

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刀身に彫られた彫刻、刀身彫りの世界

うららかな春の季節になりました。

今回は刀身に彫られた彫刻、刀身彫(とうしんぼり)についてご紹介します。

世情穏やかならぬ昨今ですが、鎌倉の昔から、様々な願いや思いを込めて、色々な図柄や文字が日本刀には彫られています。

世の安寧を望むものや、信仰、戦勝祈願、お守り、身を奮い立たせるための勇ましい龍や剣の彫、梵字などがあります。

江戸時代の資料を見ると、作刀料と同じ位若しくは彫師によっては作刀料が上回るほど、刀身彫の金額は高かったようです。鍛え良い地鉄に彫刻していくのですから、並の能力では出来なかったのでしょう。

また、刀匠自身が彫った自身彫というものもあります。作刀の力量だけでなく彫の技術やデザインの才能も素晴らしく抜きんでていたというのですから、驚かされます。最上作(最も作刀が上手いと位置づけられている)に彫の上手い刀匠が多いということは、彼らの才能の大きさと凄さを感じずにはいられません。

刀身彫りの始まり

古くは、棒樋に始まり素剣や梵字、特に相州物に華やかな彫が見られます。新刀期には虎徹、忠綱、新々刀期に清麿呂、栗原信秀、手柄山正繁などが見事な彫技を見せています。

様々な刀身彫り

現代刀にも刀身彫の見られる作があります。

茎に仙琇彫、仙寿彫と刻された作を見ることがあります。現代の刀身彫の最高峰の彫師です。人間国宝の作や無鑑査級の現代刀にも見られ、その見事な彫刻はより一層刀身の魅力を引き立たせています。

昔の人々がどのような願望で彫を入れたのか、刀身と彫のバランスや彫技の精密さなど、色々な意味で刀身彫をお楽しみいただければと思います。

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