鉄鍔のお手入れ方法

刀剣指南

昔から梅雨時こそ鉄鍔の手入れには適していると言われています。室温や湿度の調整が進んでいる現代では、必ずしもその時期とは言えないかもしれませんが、梅雨の鬱陶しい今日この頃、鍔のお手入れなどなさってみてはいかがでしょうか。

用意するもの

  • 刀剣油や椿油
  • 丁子油などの植物性油
  • 木綿の布
  • 柔らかい歯ブラシ(豚毛)
  • 鹿の角や楊枝
  • 綿棒

地鉄の荒れた鍔には椿油、丁子油の類を付け木綿の布で拭って手入れするのが一般常識となっています。梅雨時は時節の湿気を利用すると赤錆や護摩錆を上手く取る上で良い時期です。

日本刀講座小道具編

ポイント1

油を付け箱に入れ梅雨時が過ぎるまで放置し、その後取り出して木綿の布で拭い取ると、油が良く落ち見栄えが良くなります。

ポイント2

鉄地に金象嵌や真鍮象嵌のある場合は、せっかくの古色が剥げやすいので、象嵌部分はさけて、地鉄のみを拭うようにします。

ポイント3

大錆のある場合、表にもり上がっているばかりでなく、深く芯まで朽ち込んでいます。完全に綺麗にはなりませんが、諦めず、油を付け一晩置き、木綿布で拭い、鹿の角や楊枝等で丁寧に擦り取ります。これを根気よく何度も繰り返すことにより、ぐっと見栄えが良くなってきます。

ポイント4

ナイフや鑢、硬いブラシなどの硬い素材、鉱物性の油は決して使ってはいけません。折角、何百年もかかって付いた錆が取れてしまいます。

さいごに

小さな名もない鍔ながら、何百年もの間、拵えに付けられたり、蒐集されたりしながら生きてきたのです。これからも私達の命より長く生き続ける小さな日本文化です。 どうぞ、そんなことを思いながら、こんな鬱陶しい時期ではありますが、鍔のお手入れなどなさってはいかがでしょうか。

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